真水は、0℃で凍ります。湖や池の氷も水面から冷やされます。さて、海は?どうやって凍るのでしょう。 海水には、混ざりもの『塩分』があります。海水はしょっぱいですよね。この塩辛い要因が『塩分』なのです。1,000リットルの海水に33gの塩分があると言われています。最近は、塩分を測定する機器が開発されPSU(実用塩分単位)が用いられています。 では、海水は、何℃で凍るのでしょうか? 一般的には、マイナス1.8℃で凍ると言われています。凍る温度が下がることを『氷点降下』と呼んでいます。池や湖の氷が水面から凍りますが、海水は、全層が結氷温度『マイナス1.8℃』になると水中でも凍り始めます。
■晶氷
結氷温度に達した海水に最初に生まれる氷は氷の結晶です。これを晶氷(しょうひょう)って言います。流氷の赤ちゃんです。水中で生まれた「晶氷」は、軽いので、キラキラ光を浴びながら水面に浮かびあがります。『水中のダイヤモンドダスト』なんて言われています。 紋別に来て9年、私も生で見たのは1回だけです。
■グリースアイス
晶氷がたくさん生まれて海水面を覆うようになります。このシャーベット状の氷を『グリースアイス』と呼びます。グリースアイスが海面を覆うようになると、さざ波が消えていきます。
■ニラス
海が静かな朝、さらに海面が冷やされるとグリースアイスが板状に凍り付きます。数センチの薄い板が海面を覆うようになります。 薄い氷は、氷の下の海水が透けているため、暗く見えます。これを『暗いニラス』と呼びます。薄いため、うねりで簡単に割れますし、ちょっとの力で重なり合います。綺麗な短冊状の重なりは芸術作品のようです。 このあたりから、海氷は、氷の下側が成長するようになります。濃い塩分を吐き出しながら下へ、下へと成長します。 ある程度厚くなると、海水が透けて見えなくなり、白い板状になります。これを『明るいニラス』と呼びます。 ガリンコ号で氷海域に出たら....『ニラス』を探してみましょう!! 見つけられたあなたは....もう『流氷ヲタク』の仲間入りです。
■板状軟氷
さらに海が冷やされると、柔らかい板状の氷に成長します。『板状軟氷(ばんじょうなんぴょう)』って言います。
■蓮葉氷
板状軟氷がうねりで割れて、隣通しぶつかりあい、擦れ合うと縁がめくれ上がり、『蓮葉氷』になります。
■氷盤
長い旅の末、氷は成長し、いくつかの氷盤を取り込んだり、重なり合ったりして...荒々しい流氷に成長します。
■流氷
[参考資料] ・白い海、凍る海~オホーツク海のふしぎ~、青田昌秋(東海大学出版会)、1993